創業100年を超える愛媛県八幡浜市中心部の老舗銭湯「大正湯」(大正町)が23日、約1年間の休業を経て営業を再開する。長年切り盛りしてきた主人は、改修で真新しくなった市民の憩いの場の「復活」を指折り数え準備を進めている。
 1915年に開業した大正湯。3代目として山内実さん(77)、富美子さん(73)夫妻は半世紀にわたって経営してきたが、設備の老朽化で湯釜に穴が開くなどし、2015年9月から休業に追い込まれた。修理費用は高額で、自身も間もなく80代を迎える。家庭への風呂の普及で客も年々減少してきた。「廃業も真剣に考えた」と山内さんは振り返る。
 だが、二人三脚で経営してきた富美子さんの激励や、常連客の待ち望む声に背中を押され、今春になって再開を決意。金融機関の融資に加え、市から約280万円の補助もあり、湯釜のほか、色がはがれ落ちていた外装や浴場のタイル張り替えに取りかかった。